【これで完璧】CYPの覚え方を解説


テオフィリン⇒CYP1A2
コデイン⇒CYP2D6
エタノール⇒CYP2E1 …
中々覚えられないな~。

オススメの覚え方あるから参考にしてみて!
薬物代謝酵素(CYP)関連はまずこれだけの量を暗記しなければなりません。(下図)
CYP種 | 主な薬剤 |
CYP1A2 | テオフィリン、チザニジン、ラメルテオン |
CYP2C9 | ワルファリン(S体)、トルブタミド、NSAIDs |
CYP2C19 | オメプラゾール、フェニトイン |
CYP2D6 | コデイン、デキストロメトルファン |
CYP2E1 | エタノール、アセトアミノフェン |
CYP3A4 | ニフェジピン、シクロスポリン、エリスロポエチン、リトナビル、リファンピシン |
今回は、これらの暗記の負担が大幅に減る覚え方を徹底解説します。
CYP1A2
テオフィリン

テオフィリンやカフェインなどキサンチン骨格を持つ医薬品はCYP1A2で代謝されます。
チザニジン
筋弛緩薬のチザニジンはCYP1A2を阻害するフルボキサミン、シプロフロキサシンとは併用禁忌となっています。

似た名前に「ニザチジン」ってあるけど、
こっちはH2ブロッカーだから気を付けてね!
ラメルテオン
メラトニン受容体アゴニストのラメルテオンは、CYP1A2を阻害するフルボキサミン(SSRI)と併用禁忌となっています。

チザニジン・ラメルテオンとフルボキサミンの併用については、
国試で頻出だから忘れないようにしよう!
プロプラノール
非選択的β遮断薬であるプロプラノールは、CYP1A2、CYP2D6,CYP2C19 により代謝されます。
参考記事:薬物相互作用
オランザピン
意外かもですが、抗精神薬のMARTA(オランザピン・クロザピン)もCYP1A2で代謝されます。
同じMARTAの仲間である“クエチアピン”はCYP3A4で代謝されるので、CYP3A4阻害剤であるイトラコナゾールなどと併用注意となっています。

オランザピン・クロザピン+喫煙の問題が出てきたら
ラッキー問題だね!
関連記事:MARTAの服用で眠くなる理由
CYP2C9
CYP2C9で代謝される薬物の共通点は「酸性」

共通点あったら覚えやすいね!
因みに何?

酸性薬物であるということ!
例えば、ワルファリンとかCYP2C9で代謝されるよね!

確かにワルファリンはCYP2C9で代謝されるよね!
でもワルファリンが酸性ってなんで分かるの?

良い質問!
ワルファリンを含むCYP2C9の基質薬物がなんで酸性なのかを解説していくね!
【前提知識】酸の定義

医薬品の説明に入る前に、
どんな物質が酸性を示すか
理解してるかな?

ちょっと自信ない…

酸とは、水素イオンを与える物質って言われているよ!
(ブレンステッド・ローリーの定義)
ワルファリン

まずは、ワルファリン!

これがなんで酸性物質か分かる?

ちょっと自信ない…

いきなりだと難しいよね。
下の共鳴構造式で確認してみよう!


ワルファリンの水素が引き抜かれてる!

そうだね!
因みに化学反応式だとこんな感じ!

共鳴は複雑だけど反応式にすると簡単だね!
トルブタミド

SU剤の
- トルブタミド
- グリメピリド
もCYP2C9の基質なんだ!

そうなんだ!
そもそも、SUって何の略なの?

SUはスルホニルウレア(sulfonylurea)の略で、
スルホニル(-SO2-)+尿素(-NHCONH-)の構造を持っているんだ。


官能基ごとに分けると理解しやすいね!

本題!
SU剤が酸性な理由を構造を使って説明するよ!


ワルファリンの時と同じだね!
フェニトイン

フェニトインが酸性とか知らん!笑

普通知らないから大丈夫!笑
でも考え方は一緒!

フルバスタチン

出た!スタチン!

スタチン類では、
- フルバスタチン
- ロスバスタチン
の代謝にCYP2C9が関与しているよ!


構造見たら酸性って分かるね!
NSAIDs

まずはこれをチェックしておこう!

オッケー!
なんでNSAIDsは酸性なの?

それは、
NSAIDsがアラキドン酸を模倣して作られてるからなんだよ!

なんかイメージ湧かないな…

難しいよね。
ここでは、
「アラキドン酸=酸性だからそれに似てるNSAIDsも酸性」
って覚え方でいいよ!

ロサルタン

意外と多いね!

そうだね!
日本で承認されているARBは7個だからほとんどCYP2C9が関わっているね!


テルミサルタンのカルボン酸は酸性官能基って分かるけど、ロサルタンの

って酸性なの?
見た感じ塩基性っぽいんだけど…

これはテトラゾール基って言うんだけど、実は酸性を示すんだ!
共鳴を使って説明するね。


テトラゾール共鳴してる!!!

ってことでテトラゾール=酸性です。
CYP2C19
オメプラゾール

クロピドグレル
CYP2A6
テガフール
CYP2D6
メトプロロール
- 投与量の約60%が肝での初回通過効果を受ける。
- 残りの約40%が体循環に到達し、主な代謝酵素はCYP2D6である。
参考:添付文書

イミプラミン
イミプラミンはCYP1A2,3A4,2C19により代謝され、デシプラミンになります。


イミプラミン、デシプラミン両方に薬理活性があるよ!
参考:インタビューフォーム
そして、イミプラミン、デシプラミンは共にCYP2D6、グルクロン酸抱合により代謝されます。

(インタビューフォームより)
アミトリプチリン

アミトリプチリンは第一世代の三環系抗うつ薬だよ!
コデイン


コデインとモルヒネの関係が大事だよ!
(両方に薬理活性アリ)

(Web医事新報|日本医事新報社より)
デキストロメトルファン
タモキシフェン

CYP2E1
CYP3A4
ジアゼパム
酵素誘導・阻害剤

オメプラゾールはCYP2C19で代謝されると同時にCYP2C19を阻害するよ!