【薬剤師国家試験】105回問277の解説
hachi
Hachi薬
インスリン デテミルに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 速効型のインスリン製剤である。
2 皮下注射後、等電点沈殿に伴い微結晶になり、ゆっくりと溶解して血中に移行する。
3 ヒトインスリンにミリスチン酸基を付加し、血漿中のアルブミンとの結合を利用して作用の持続化を図っている。
4 投与ごとの血糖降下作用のばらつきが少なく、安定した血糖コントロールが期待できる。
5 等張化剤としてD-グルコースが用いられている。
答えは「3と4」。
1
⇒インスリン デテミルは持続型インスリンアナログである。
2
⇒インスリン グラルギンの記述である。
持続型インスリンアナログ
名前の由来
ヒトインスリンのアスパラギンをグリシン(glycine)に置換し、
更にB鎖のC末端に2分子のアルギニン(arginine)を付加したもの。
⇒glargine
構造の特徴
pH約4の酸性薬剤で投与により、生理的pHで中和され沈殿物を形成する。(等電点約6.8)
その後、徐々に沈殿物から薬剤が放出される。
参考:インタビューフォーム
3
⇒デテミルの「ミ」はミリスチンの「ミ」。
名前の由来
トレオニン(threonine)が欠損し(de)
リジン残基のε-アミノ基にミリスチン酸(myristic acid)を付加したポリペプチド。
⇒detemir(myrのyをiに綴り替え)
構造の特徴
付加したミリスチン酸が血中でアルブミンと結合し、標的組織に移行する。
参考:インタビューフォーム
5
⇒インスリン デテミルに用いられている等張化剤はグリセリンである。
グルコースも等張化剤だが、糖尿病患者に投与すると血糖値が上がる可能性がある。