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【ホルモン療法】アロマターゼ阻害薬を閉経後に用いる理由

hachi
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エストロゲンの生合成

閉経前:FSHにより産生。

閉経後:アロマターゼにより産生。

FSH:卵胞刺激ホルモン

閉経後はアロマターゼによってエストロゲンが産生されるので、アロマターゼ阻害薬は閉経後乳癌に用いられます。

他の薬剤については本文で説明していきます。

閉経前後で異なるエストロゲンの生合成

閉経前は卵巣で産生される。

閉経前のエストゲンの生合成

閉経前は、主に卵巣でエストロゲンが作られます。

閉経後は脂肪組織、腫瘍組織で産生される。

閉経後は脂肪組織、腫瘍組織でエストロゲンが合成されます。

ポイント
  • 副腎からテストステロンが分泌される。
  • 脂肪組織、腫瘍組織でアロマターゼでテストステロンからエストラジオールが合成される。
ハチ
ハチ

だから、アロマターゼ阻害薬が効くのは閉経後

LH-RH作動薬を閉経前に使う理由

LH-RH:黄体形成ホルモン放出ホルモン

閉経前のエストゲンの生合成

前述のように、閉経におけるエストロゲン合成は主に卵巣で行われます。

リュープロレリンなどのLH-RHアゴニストは、

  • 下垂体のLH-RH受容体の脱感作
  • 負のフィードバックによるGnRH分泌の減少

の2つのステップを介して抗エストロゲン作用を示します。

よってLH-RH作動薬はエストロゲン産生が卵巣に依存する閉経前には有効ですが、エストロゲン合成が卵巣ではない閉経後に使っても効果が期待できません。

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閉経に関係なく使える薬剤

タモキシフェン

SERM:Selective estrogen receptor modulator

選択的エストロゲンモジュレーター

タモキシフェンはSERMの一種であり、

  • 乳房:エストロゲン遮断
  • 子宮内膜、骨組織:エストロゲン刺激

として働くので、エストロゲン受容体(ER)陽性の乳癌に用いられます。

タモキシフェンはアロマターゼ阻害薬やLH-RH作動薬のようにエストロゲンの産生組織に左右されない薬剤であるため、閉経に関係なく用いることができます。

また、トレミフェンもSERMの一種ですが適応は閉経乳がんとなっています。
閉経前に処方されることもある

注意点

タモキシフェンは子宮に対してエストロゲン作用をするので、子宮内膜症のリスクを増大させる。

関連問題

フルベストラント

フルベストラントは、ERをダウンレギュレーションさせて受容体の分解を促進する新しいタイプの乳癌治療薬です。

このような薬剤を

SERDSelective Estrogen Receptor downregulator

と呼び、フルベストラントは日本初のSERDです。

構造
フルベストラントの構造

エストラジオールの構造に近いため、ERに結合しやすいと考えられる。

マメ知識

発売当初は閉経後乳癌で承認されたが、2017年に閉経前乳癌にも使えるようになった。

ホルモン療法適応まとめ

閉経前・後閉経前閉経後
アロマターゼ阻害薬
LH-RH作動薬
SERM
SERD
乳癌のホルモン療法の適応
まとめ

エストロゲンの合成

  • 閉経前:FSHにより卵巣で産生。
    ⇒LH-RH作動薬
  • 閉経後:アロマターゼにより腫瘍組織、脂肪組織で産生。
    ⇒アロマターゼ阻害薬

SERM・SERD

閉経に関係なく用いられる。

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