【薬剤師国家試験】103回問160の解説
hachi
Hachi薬
薬物代謝酵素の遺伝子多型に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 CYP2C19のpoor metabolizer(PM)では、オメプラゾール併用のピロリ菌除菌療法の効果が減弱する。
2 CYP2D6のextensive metabolizer(EM)では、コデインの鎮痛効果が減弱する。
3 CYP2C9のPMでは、フェニトインによる中枢毒性発現のリスクが増大する。
4 N-アセチル転移酵素2(NAT2)のslow acetylator(SA)では、イソニアジドによる副作用のリスクが増大する。
5 CYP2C19のPMの頻度は欧米人では5~10%であるが、日本人では約1%である。
答えは「3と4」。
PM:代謝がゆっくりになる。
EM:代謝が速くなる。
SA:代謝(アセチル化)が遅くなる。
RA:代謝(アセチル化)が速くなる。
1
⇒オメプラゾールはCYP2C19で代謝されるので、PMでは効果が高くなる。
2
⇒コデインはCYP2D6でより効果の高いモルヒネに代謝されるため、EMでは効果が高くなる。
3
⇒フェニトインはCYP2C9で代謝されるので、PMでは効果が高くなる。
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4
⇒SAではイソニアジドの滞留時間が長くなるので、イソニアジドの副作用(末梢神経障害)が出やすくなる。
逆にRAでは肝障害のリスクが上がる。
5
⇒CYP2C19のPMの頻度は日本人では約20%。