実践問題
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【薬剤師国家試験】105回問199の解説

hachi
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オメプラゾール腸溶錠は、オメプラゾールのR体とS体の混合物である。その有効性はR体とS体で異なるため、その血中濃度をR体とS体とに分別して定量することによって有用な情報が得られる。
血中濃度測定における液-液抽出法による血液の前処理とHPLCによる分別定量法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 液-液抽出では、R体とS体の分配係数が異なるので、個別に抽出率を求めておく必要がある。

2 液-液抽出では、試料のpHを塩基性にすると抽出率が向上する。

3 液-液抽出に用いる有機溶媒としてアセトニトリルが有用である。

4 HPLCでは、移動相にキラル化合物のラセミ体を添加することによってR体とS体を分離できる。

5 HPLCでは、光学活性物質や特定の高分子によって修飾した固定相を用いることによってR体とS体を分離できる。

Q
解答・解説

答えは「2と5」。


⇒ラセミ体・光学異性体(R体とS体)は旋光度は異なるが分配係数は同じである。

また、ジアステレオマー同士は分配係数が異なる。


⇒オメプラゾールは塩基性物質なので、pHを塩基性にするとオメプラゾールの分子型が増えるので抽出率も向上する。


⇒液-液抽出では水相と油相に分けて抽出する方法なので、
 メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、アセトニトリルなど水と脂両方に溶ける溶媒は使用できない。


⇒キラル移動相法に関する記述だが、加える物質はラセミ体ではなくエナンチオマー(R体のみorS体のみ)である。

キラル移動相法はラセミ体(分析対象物質)にエナンチオマーを加えて、R体とS体でエナンチオマーに対する反応性が異なることを利用して分離する手法である。

仮にラセミ体(分析対象物質)にラセミ体を加えるとR体とS体が同じ割合で反応してしまい、分離が不可能になってしまう。

今回で言えば、オメプラゾール(ラセミ体)にラセミ体を混ぜることで、エナンチオマーR体とS体が同じ割合で反応してしまう。

参考記事:試薬-富士フイルム和光純薬

光学異性体が重要な理由

光学異性体が重要な例としてサリドマイド薬害がある。

サリドマイドにはR体,S体の2種類の異性体が存在するが、S体に催奇形性(四肢奇形)が見られ、社会問題になった。

このように立体配置が1か所違うだけで大きな副作用に繋がることもあるので、光学異性体の理解は非常に重要である。

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ハチ
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106回薬剤師国家試験現役合格Ⅰ 6年間バイトと勉強両立Ⅰ 6年次にアロマテラピー検定1級 ・日本化粧検定1級取得取得Ⅰ コスパ・タイパ良く合格する為の知識・考え方を発信しています。
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