【ポイントは2つ】アスピリンジレンマをめっちゃ分かりやすく解説!


講義でアスピリンジレンマについて習ったけど、全く分かりません。

これを一発で理解できる人そんなに居ないんじゃない?笑
僕も曖昧な感じで国試直前まで来ちゃってたし。

やっぱり難しいんだ。

難しいけど、2つのポイントを押さえれば楽勝だから一緒に頑張ろう!

アスピリンジレンマの理解に重要な2つのポイント

- 血小板は無核であること。
- 血管内皮細胞⇒PGI2
血小板⇒TXA2が優位に合成される。
まずこの2点を押さえよう!

血管内皮ってPGI2が優位なの?
知らなかった…
ポイント1:血小板は無核なのでCOXの合成ができない。


基本だけど血小板には「核」がない。
だからCOXの合成が出来ないんだよ。

ん?
COXって核で合成されるの?

COXってタンパク質だから、核で合成されるよ。
セントラルドグマだね!
(DNA⇒mRNA⇒タンパク質の流れのこと)

セントラルドグマか!
納得!

だから血小板は元々細胞質にあるCOXだけしか使えない。
言い換えれば、有核細胞に比べて使えるCOXに限りがある。
ポイント2:血管内皮細胞はPGI2、血小板ではTXA2が優位に合成される。


第2のポイントは、
血管内皮細胞⇒PGI2
血小板⇒TXA2が優位に合成されること!

これは、知らない笑

今覚えればOK!
これが分からないとアスピリンジレンマが理解できないから、必ず覚えてね!
「アスピリンジレンマとは何か?」の解答

まず、アスピリンジレンマってどんな風に習った?

- アスピリン低用量⇒TXA2の生成が抑制されて血液がサラサラになる。
- 高容量⇒PGI2の生成が抑制されて血液が固まりやすくなる。
って感じかな?

そうだね!
ここで浮かび上がる疑問について解説していくよ!
低用量でTXA2の生成だけが抑制される理由


普通に考えたらPGI2とTXA2両方の生成が抑えられそうだけど、、、なんで?

ここで、第1のポイント「血小板には核がない」ことが鍵になってくる。
前述の通り、血小板は元々細胞質にあるCOXしか使えない。(使える数に限りがある)
だからアスピリンに細胞質内のCOXを全て阻害されたら、血小板はTXA2を合成できない。
逆に、血管内皮細胞は細胞質のCOXが阻害されても核でCOXを作れるからPGI2の生成は阻害されない。

なるほど。
血管内皮細胞は細胞質のCOXが阻害されても、まだ核があるからCOXを作りだせるってことだね!
高容量アスピリン服用中に体内で起こっていること

「高容量⇒PGI2の生成が抑制されて血液が固まりやすくなる」
って習ったけど、イメージが湧かないんだよね。

アスピリンを高容量にするとTXA2に加えてPGI2の合成も抑制される。(下表)
低用量 | 高容量 | |
TXA2 | 阻害 | 阻害 |
PGI2 | 阻害されない | 阻害 |
薬理作用 | 血液サラサラ (PGI2作用) | 血液凝固 (PGI2抑制作用) |
よって、高容量ではPGI2作用が抑制されているから血液が固まりやすくなる。
(血小板凝集抑制の抑制⇒血小板凝集促進)
アスピリンジレンマまとめ

一言でまとめるとこんな感じ!
参考になったら、アスピリンジレンマを人に教えてあげてね!
Q&A
Q1.イブプロフェンでもアスピリンジレンマは起こるの?

A.起こらない。
理由はイブプロフェン等のNSAIDsはアスピリンを除いてCOXを可逆的に阻害するため。
(アスピリンだけがCOXを不可逆的に阻害する)
COXを可逆的に阻害しても、時間と共にCOXの働きは元に戻るのでアスピリンジレンマは起こらない。

アスピリンだけがCOXを不可逆的に阻害するんだね!
参考記事:お薬Q&A 〜Fizz Drug Information〜

Q2.バイアスピリンの休薬が7日である理由

A.血小板の寿命が約7日だから。
バイアスピリンはCOXを不可逆的に阻害するので、血小板のCOX阻害効果は血小板の寿命分持続する。
血小板の寿命は7~10日なので、バイアスピリンの休薬時期は手術の7~10日前が適切だと言われている。
参考記事:抗血小板薬、手術前はどのくらい休薬する?~休薬期間の決め方
関連問題
次の記述の正誤を答えよ。
低用量のアスピリンは、血管内皮細胞のCOX-2を阻害しにくいため、PGI2の産生は抑制されない。
- 解答・解説
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〇 (104回-問263改)
血管内皮細胞ではCOX-1,COX-2両方産生されるので正しい。
また、血小板には核が無いのでCOX-2を産生することはできない。